ロヒプノールとは?

ロヒプノールは、睡眠薬の一種です。ベンゾジアゼピン系と呼ばれている種類に属する睡眠薬で、このタイプの睡眠薬は非ベンゾジアゼピン系睡眠薬よりも副作用が強めという性質を持っています。ですので、取扱には十分に注意して服用するようにしておくようにしましょう。

 

正式名称はフルニトラゼパムと呼びます。この薬を歴史的にみると比較的古くからあり1970年代前半にスイスのロシュ社が開発して1975年にヨーロッパで販売を開始され、日本でも1984年3月に中外製薬からロヒプノールという商品名で販売されています。

 

ロヒプノールの効果

ロヒプノールを服用するとどうして眠くなるのかについてですが、これはロヒプノールを服用するとその成分がベンゾジアゼピン受容体へと作用することによって、同時にGABAの働きを強める作用があるためです。

 

その結果として脳の活動を抑えることで効果を発揮します。

 

GABAとは、神経伝達物質のことです。GABAは脳の中での情報の受け渡しに関係している物質であり、リラックスさせる効果に優れています。ロヒプノールがベンゾジアゼピン受容体とくっつくことによって、同じくGABAがGABA受容体にくっつきやすくなるという性質を持ちます。GABAの働きが強まることで、脳の活動が抑えられ睡眠をもたらすという仕組みになっています。

 

ロヒプノールのいい点

ロヒプノールのいい点を挙げていくと、まず最大の特徴としては効き目がとても強いという点が挙げられます。睡眠薬の中では効き目が最強クラスとも称されるほどの効き目があるとされます。同じ睡眠薬のジアゼパム(製品名:セルシン)より約10倍の効果があるというデータも存在するほどです。

 

そして、脂肪に溶けにくいという性質も持っています。ですので、薬効が発揮しやすい仕組みとなっています。ロヒプノールを服用した場合服用後から1.5時間ほどで血中濃度がピークになり、7時間経過すると半減期となります。

 

ロヒプノールの副作用

ロヒプノールは効果の高い睡眠薬として多くの人に利用されていますが、一方で副作用が強い医薬品としても知られています。まずは主な副作用について、以下に書いたので確認してください。

 

ロヒプノールの副作用代表例

 

倦怠感 睡眠作用・筋弛緩作用が強く、副作用として、脱力感や倦怠感が出る。
疲労感、だるい 眠りが浅くなりやすいので、寝ても疲労が取れなかったり、疲れがたまる。
ふらつき、転倒 筋弛緩作用によって体がうまく動かせなくなり、ふらつきや転倒などが起こる。
健忘症(前向性健忘) 記憶障害の副作用がある。特に、服用後や中途覚醒時の記憶がなくなる前向性健忘のリスクが高い。
せん妄 脳の機能が低下し、混乱して落ち着きをなくしたり、興奮して大声を出す、暴力をふるうなどの状態になる。
夢遊病 別名「睡眠時遊行症」ともいい、眠ったまま歩き回ったり暴れたりする症状が起こることがある。
ろれつが回らない ぼーっとしてろれつが回らなくなり、何を言っているのかわからなくなる。
幻覚・幻聴 実際にはいないものを見たり、鳴っていない音を聞いたりする。その結果混乱して暴れたりなどのリスクもある。
痴呆、認知症の悪化 高齢者の場合、ロヒプノールの作用によって痴呆症・認知症が悪化するリスクがある。
口渇 口の中が異常に渇く。その結果口内の細菌が繁殖し、虫歯や歯槽膿漏などを招くこともある。
低血圧 ロヒプノールには血圧を下げる効果があるため、低血圧で治療中の人は以上に血圧が下がる可能性があり、要注意となる。
下痢・便秘 腸内環境が悪化して、下痢や便秘が現れることがある。

 

ロヒプノールにはいろいろな副作用がありますが、その中でも注目なのが「倦怠感」などの身体的副作用と、「健忘症」や「せん妄」といった精神的副作用の2種類になります。

 

まず「倦怠感」「体のだるさ」といった身体的な副作用についてです。こちらについては個人差があるのですが、強く表に出た場合は生活に支障がでるレベルとなります。集中力が途切れたり、一日中眠い、体がだるいといった副作用のために、周囲の評価を落としてしまいます。場合によっては仕事で大きなマイナスになり、立場をなくしてしまうこともあるでしょう。最悪の場合、運転中にぼうっとして人を轢いてしまうなどのリスクもあります。

 

また、筋弛緩作用によって体のコントロールがうまくできなくなるため、ふらついたり、転倒してケガするといった事態もありえます。特に高齢者の場合は転倒してそのまま寝たきりになってしまう場合もあるので注意が必要です。

 

そして今度は記憶などに関する精神的副作用についてです。こちらはロヒプノールの抗不安作用、睡眠作用が副作用的に出てしまうことが原因です。不眠症や不安感が改善される反面、健忘やせん妄などが出てしまうのは表裏一体の現象となり、なかなか切り離せないのです。

 

高齢者の場合がとくに注意となり、ロヒプノールを飲むことによって前向性健忘やせん妄といった精神的な副作用が起きやすいほか、認知症が悪化しやすくなるといった大きなデメリットがあります。さらに、筋弛緩作用も出やすいためふらつき・転倒なども起きやすいので、高齢者の場合はロヒプノールの服用には余計に気を付けるべきです。

 

舌根沈下に要注意

舌根沈下とは、仰向けで寝ているときに下の根本がのどの部分に落ち込んで気道をふさいでしまうことです。ロヒプノールにはこの舌根沈下の副作用も認められており、最悪の場合、呼吸困難や窒息死に至ってしまう恐ろしい症状となります。

 

基本的には大量服用した際の症状となりますが、ロヒプノールに耐性のない高齢者、あるいは肥満でもともと気道がふさがりやすい人、さらにはアルコールを飲んで舌根沈下しやすい状態の人もリスクがあります。

 

発生した場合は命に直結するため、家族がすばやく見つけるなどの対処が必要です。

 

ロヒプノールを飲むと太りやすくなる?

ロヒプノールそのものには、太る成分は含まれていません。そのため、何もしていないのにどんどん太っていくということは考えにくいです。

 

ただし、ロヒプノールのせいで間接的に太る可能性はあります。

 

まず第一に、ロヒプノールには、ごくまれにですが「空腹感が増す」という症状が出ることがあります。その結果、食べ過ぎてしまい体重が増える可能性はあります。

 

そして第二に、「不安感が消えた結果、リラックスして食欲が増す」という間接的な原因が出てくることがあります。これは、脳がリラックスして副交感神経が活発になり、食欲が出てくるというメカニズムです。

 

また、例えばストレス性の胃潰瘍や十二指腸潰瘍を患っていた場合、ロヒプノールの抗不安作用によってストレスが改善し、症状が治って食欲が出るなんてこともあります。

 

とはいえ、ロヒプノールを飲むことでしっかりと睡眠がとれるようになり、過食が減って体重が落ちたという例があることも事実です。そのため、最終的には太るか痩せるかはその人次第となります。「副作用で太る」というのはなく、人それぞれということです。大事なことは、「太る可能性がある」ということを頭に入れておいて、無駄な間食などを取らないようにするなどの対策を取ることです。

 

ロヒプノールの依存性・耐性形成について

ロヒプノールを使用中の副作用も確かに避けたい問題ですが、「寝られないつらさを無くせるなら我慢してもいい」という人もいるはずです。

 

本当にきついのは、副作用ではなくロヒプノールの「依存性」「耐性形成」なのです。

 

依存性・耐性形成って何?

「依存性」というのは、「やめたくてもやめられない」という性質のことです。有名なところでは、アルコールを飲むのがやめられない「アルコール依存症」、タバコがやめられない「ニコチン依存症」などがあります。

 

この「依存性」は使い続けることで体に耐性がつき、物足りなくなることで起こります。実はロヒプノールにも、睡眠薬の中では比較的強い依存性があり、「以前と同じ量では効果を感じない」という状況になっていって、どんどん使用量が増えていく性質があります。

 

医者の指示によってしっかりと使用量がコントロールできればまだよいのですが、なまじ効果の強い医薬品だけに、優先的に飲んだりしてどんどん耐性がつき、依存性がうなぎのぼりに高まっていく傾向があるのです。

 

依存性による断薬の難しさ、離脱症状のつらさ

「ロヒプノールを飲んで体調が治ってきたので、そろそろやめよう」

 

こんなときに、依存性が襲いかかってきます。

 

慢性的使用・連用によって体の中に蓄積されたロヒプノールの依存性・耐性があるので、急に断薬するとさまざまな離脱症状が出現するのです。

 

  1. イライラする、怒りっぽくなる
  2. 不眠症
  3. 耳鳴り
  4. 吐き気

 

このような症状が代表例です。もともと、不眠を解決したり、不安をなくしたりするためにロヒプノールを飲んでいたはずなのですが、急に断薬をするとこれらの症状が離脱症状として現れてくるのは皮肉な話です。

 

人間にはホメオスタシスという作用があり、体の状態を一定に保とうとします。例えばダイエットを続けていると体重が減らなくなる「停滞期」というのがありますが、これは食事が減っている状態を元に戻そうとして、勝手に脳が代謝を落とすためです。

 

ロヒプノールの依存性もホメオスタシスと関係が深く、長い間医薬成分によって不安や不眠を解消していたので、それを急になくすと脳が勝手に体の状態を元に戻そうとして、不眠や不安といった離脱症状を起こしてしまうのです。

 

スケジュールをしっかり立ててロヒプノールを服用していれば離脱症状も少なくなりますが、何も気にせずに好きなだけ服用しているとどんどん服用量が増えるため、そのぶん重大な離脱症状が発生することになります。

 

ロヒプノールの効果・副作用まとめ

ロヒプノールには強い睡眠作用・抗不安作用がありますが、その分強い副作用があります。

 

また、依存性も高く、断薬時には強い離脱症状が襲い掛かることもあるので、できるだけ服用量を守り、依存性・耐性形成が起こらないよう工夫していく必要があります。